生前整理を考え始めたとき、「整理の仕方がわからない」「何を残すべきか悩む」という方も多いのではないでしょうか。
特に頭を抱えるのが、アルバムの整理です。思い出の写真が詰まったアルバムは、ただの「モノ」ではありません。正しい工程を踏んで整理しないと後悔する恐れもあるので、アルバムの整理は慎重に行う必要があります。
この記事では、アルバムの生前整理の具体的な進め方のほか、写真のデジタル化や手放し方のコツをわかりやすく紹介します。 親の生前整理をサポートする際のポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
アルバムの生前整理の進め方|3つのステップ
ここでは、アルバムの生前整理をスムーズにおこなうための3つのステップを紹介します。
STEP1|アルバムや写真を全て集める
アルバムの生前整理を効率的に進めるには、最初に自宅保管している全ての写真を一箇所にまとめて、写真の全体量を把握しましょう。
封筒や箱の中などに個別保管している写真がないか、細かくチェックすることも大切です。
後から写真が見つかると作業効率が悪くなるため、抜け漏れなく家中の写真を集めることが重要なポイントです。
STEP2|写真を選別する
写真を全て集め終わったら、保有している写真を以下の3つに分類しましょう。
- 紙のまま残す写真
- デジタル化して残す写真
- 処分する写真
写真をカテゴリー別に大まかに分類しておくことで、一枚一枚の写真を精査する手間が削減され、生前整理をスムーズに進行できます。
写真の分類・処分方法の詳細については、後述します。
STEP3|新しいアルバムにまとめる/デジタル化する
紙のまま残す写真はコンパクトなアルバムにまとめておくと、省スペースで収納できて便利なうえ、いつでも気軽に見返すことができます。さらに年代別やイベント毎に写真を分けておくと、時系列がわかりやすくなるでしょう。
デジタル化して残す写真については、自分に合った方法でデジタル化することで、ストレスなく写真整理を行えます。具体的な方法については後述するので、そちらも参考にしてください。
残す写真と処分する写真の選定基準
先に紹介したSTEP2で、「事前に写真を選別することが重要」とお伝えしましたが、いざ写真を前にすると、どの写真を処分すべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで次は、アルバムの生前整理をスムーズに進めるために、残す写真と処分する写真の選定基準の決め方について詳しく解説します。
残す写真の選定基準
手元に残しておきたい写真を選定するには、以下3つを基準にするといいでしょう。
- 人生の節目(入学・卒業・結婚など)を記録したもの
- 表情や構図が良いもの
- 見返して心が動くような、特に思い出深いもの
特別な記念日に撮った写真でなくても、思い入れの深い写真は手元に残しておくことで、のちに後悔するリスクを軽減できます。
処分する写真の選定基準
処分する写真を選定するには、以下3つを基準にするといいでしょう。
- 同じ場面を何枚も撮ったもの
- 目を閉じているものや顔が写っていないもの
- ピンボケや色褪せがひどいもの
処分する写真の選定は、残す写真の選定よりも迷いや戸惑いが生じやすいですが、選定基準を明確にしておくことでスムーズに作業を進行できます。
アルバムの写真をデジタル化する方法|5つの方法を比較
パソコンやUSBメモリ、SDカードやDVDなどを使って写真をデジタル化すれば、大量の写真データをコンパクトに保存できます。
ここでは、写真をきれいにデジタル化する代表的な5つの方法と、そのメリット・デメリットを詳しく紹介します。
写真店へ持っていく
写真店やカメラ店など、身近に相談できるプロを頼るのも選択肢のひとつです。店舗によって対応範囲や料金に差が生じるため、候補が複数ある場合は、事前に見積もりを取っておくと安心です。
【メリット】
- プロの技術と専用機材により、高品質なスキャンが可能
- アルバムから写真を剝がさずにスキャンできる場合もある
- 写真の修復・文字入れ・分類まで対応可能な店舗もある
【デメリット】
- 料金が高額になりがち
【こんな方におすすめ】
- プロに相談したい
- 時間や手間をかけたくない
- 専門家に安心して任せたい
スマホアプリを使う
専用機材がなくても、アプリを活用すれば自身のスマホ1つで手軽に写真を取り込めます。
【メリット】
- 無料で手軽に始められる
- 画像のトリミングや色調調整なども自分でできる
- データをクラウドに保存することで他の人と共有しやすい
【デメリット】
- 写真の量が多いと作業に時間がかかる
- 高精細な画質は望めない
- 写真が外部に流出しないようプライバシー面での配慮が必要
【こんな方におすすめ】
- 簡単な操作で気軽に写真をスキャンしたい
- コストをかけたくない
- スキャンする写真の枚数が少ない
アプリ選びに悩む場合は、以下の表におすすめの3つの写真アプリの特徴をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
アプリ名 | 特徴 |
---|---|
フォトスキャンby Googleフォト | ・Google公式の無料スキャンアプリ ・反射除去機能に優れ、光の映り込みを気にせず撮影可能 ・フィルタ・編集機能の使用でスキャン画像を加工できる ・「Googleフォト」によるバックアップが可能 |
Adobe Scan(アドビスキャン) | ・Adobeが提供する高機能スキャンアプリ ・無料版・有料版あり ・写真のほか、書類、領収書、名刺など、多用途のスキャンに対応 ・傾きやブレを自動補正できる ・PDF形式で保存可能 ・文字認識(OCR)機能があり、文字編集が可能 |
フォトマイン(Photomyne) | ・カメラのキタムラの公式アプリ ・無料版・有料版あり(無料でもスキャン回数無制限) ・アルバムごと読み取り、自動で1枚ずつ分割して保存可能 ・モノクロ写真をカラー化する「リバイバル機能」あり |
コンビニのマルチコピー機を使う
コンビニのマルチコピー機を使えば、外出ついでにさっと写真をデジタル化できます。
【メリット】
- 近所のコンビニで手軽に使える
- 1回30円程度と価格が安価
- 最大A3サイズの大きな写真にも対応
- スキャンしたデータはスマートフォン、USB、SDカードに保存可能
【デメリット】
- 写真が多いとスキャン作業が煩雑で時間がかかる
- コピー機を占有することになるため、他の利用者への配慮が必要
- プロ品質の補正や修復などは期待できない
【こんな方におすすめ】
- スキャンしたい写真の量が少ない
- 保存できれば画質にこだわりはない
家庭用プリンター/スキャナーを使う
写真のデジタル化を自宅内で完結したい方は、家庭用プリンターやスキャナーを使うという選択肢もあります。
【メリット】
- 自宅で好きな時間に作業できる
- 専用のアプリやソフトを使用すれば、トリミングやレタッチなども行える
【デメリット】
- 写真を1枚ずつセットしてスキャンするため、作業に比較的時間がかかる
- プリンターやスキャナーを新規購入する場合は、初期費用が必要
- 使用に不慣れな場合は、設定や操作がスムーズにいかない場合がある
【こんな方におすすめ】
- 既にプリンターやスキャナーを所有している
- 自宅で落ち着いて写真整理を進めたい
- 画像を細かく補正・編集し、仕上がりにこだわりたい
スキャン専門店に依頼する
写真店以外にも、スキャンを専門に扱う店舗を利用する方法もあります。
【メリット】
- 大量の写真やアルバムを一括でスキャンできる
- 写真のキズやホコリの除去、色あせ補正などの追加オプションが充実している
【デメリット】
- 写真を発送する際に梱包の手間がかかる
- 写真発送後の紛失リスクがある
- 他の方法と比べてコストがかかりがち
【こんな方におすすめ】
- 写真のスキャンに時間や手間をかけたくない
- 写真をDVD化して、家族や友人と共有したい
どのスキャン専門店に頼めばよいか迷ってしまう方は、以下の表におすすめの店舗を2つまとめたので、ぜひ参考にしてください。
節目写真館 | 写真せいとん屋 | |
---|---|---|
料金 | ・1枚10円〜(プランによって異なる) ・基本料金なし | ・基本料金600円~ ・1枚10円〜(プランによって異なる) |
納品形式 | パソコン用DVD | CD/DVD/Blu-ray |
仕上がり目安 | 最短6カ月(プランによって異なる) | 約5日~(プランによって異なる) |
※サービスの内容・料金などは変更される可能性があります。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
写真とアルバムの処分の仕方|3つの方法
写真には個人情報が含まれるため、処分の際はプライバシーへの配慮が欠かせません。ここでは、安心して写真やアルバムを処分するための方法を3つ紹介します。
可燃ごみとして処分する
写真は可燃ごみとして処分するのが一般的です。ただし、人物や住所が特定できるものは、プライバシー保護の観点から、次のような対策をしてから処分しましょう。
- ハサミやシュレッダーで細かく切る
- 顔や住所がわかる箇所にセキュリティスタンプを押す
- 写真を漂白剤に漬けてインクを溶かす
- ガムテープでしっかり包む
また、アルバムを処分する場合は、材質やサイズによって不燃ごみや粗大ごみに分けられることもあるため、必ず自治体のルールを確認しましょう。
アルバムの表紙やフィルム部分などにはプラスチックや金属が使われているものも多く、雑誌や書籍などのように資源ごみには分類されないので注意してください。
お焚き上げを申し込む
「お焚き上げ」とは、故人の遺品や思い出の品を供養しながら処分する、日本の伝統儀式の一種です。不要な写真をごみとして扱うことに抵抗がある場合は、お焚き上げをすることで、スッキリとした気持ちで処分できるでしょう。
お焚き上げは、近隣の神社やお寺に依頼するのが一般的です。最近では郵送対応を受け付けている寺社も多くあり、そのような寺社を利用すれば、全国どこからでも気軽にお焚き上げを依頼できます。
ただし、なかには郵送を受け付けていないところもあるので、事前に郵送受け付けの可否や、費用の詳細を確認しておきましょう。
生前整理業者に回収を依頼する
大量の写真やアルバムを一度に処分するのが難しい場合は、生前整理業者を利用するのもひとつの方法です。生前整理業者を利用すれば、不要な写真を一括回収してもらえるため、スピーディーにアルバムの生前整理が行えます。
多くの業者はプライバシーに配慮した方法で写真を処分してくれるので、個人情報保護の点でも安心して利用できるでしょう。また、自宅引き取りに対応している業者を選べば、持ち込みの手間もかかりません。
ただし、具体的なサービスや費用は業者ごとに異なります。複数の業者を比較・検討して、信頼できる業者を選びましょう。業者の公式ホームページや、ネット上の口コミ評価などを確認しておくと安心です。
関連記事:生前整理業者の選び方7つ!料金相場や安く抑える方法も解説|再良市場
親の生前整理をサポートするために大切なこと|3つのポイント
ここでは、親の生前整理をサポートする際の3つのポイントを紹介します。
生前整理について言い出しにくいときの伝え方
子どもから親に、生前整理や終活の話はしづらいものです。唐突に「片付けよう」と迫ると親にプレッシャーを与えてしまうため、「最近は若いうちから始める人も多いみたいで、実は自分も始めてみたんだ」など、自分の話から入ると自然に話を切り出せるでしょう。
また、親の気持ちに配慮した伝え方をするには、「捨てる」ではなく「整理する」「託す」など、別の言葉に置き換えることも重要なポイントです。
細かな伝え方を工夫して、スマートに生前整理の話をしてみましょう。
手放す前に親子で会話する
生前整理を進めるうえで大切なのは、親子で会話を交わし、お互いの想いを共有する時間を持つことです。
たとえば、親子で一緒にアルバムの生前整理を進める場合は、各ページをめくりながら当時の話に花を咲かせてみましょう。楽しかった家族旅行や入学・進学時のエピソードなど、親子でかつての思い出を共有することで、かけがえのないひとときを過ごすことができます。
このように、親の大切なものを手放す前に親子でしっかり会話をしておけば、不用品を処分する時間までもが親子の大切な思い出へと変化するでしょう。
無理のないペースで、少しずつ進める
生前整理を親と一緒に行う場合は、無理のないペースで、少しずつ進めることも重要です。
最初からすべてを整理しようとせず、まずはアルバム1冊分から整理してみるなど、小さなステップを踏みながら徐々に進めていきましょう。また、作業の進捗具合よりも、「今日も親子で一緒に取り組めた」という事実に目を向けることも大切なポイントです。
親の気持ちを尊重しながら一歩ずつ作業を進めることで、親子ともに納得のいく形で生前整理を行えるでしょう。
まとめ:アルバムの生前整理は、思い出を大切にしながら適切な手順で行おう!
アルバムの生前整理は、親子でこれまでの思い出を振り返るきっかけにもなる、とても有意義な時間です。
思い出の詰まった写真やアルバムの整理には迷うことも多いですが、今回紹介したような3つのステップや処分時のポイントを押さえておくことで、効率的に作業を進められるでしょう。
どうしても個人で生前整理を行うのが難しい場合は、実績豊富なプロを頼るのも選択肢のひとつです。
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