「実家を片付けたいけど、親が片付けを嫌がる・・」
「親の生前整理って、どう切り出せばいい?」
生前整理で大切なことを知らずに進めると、親子間の衝突が生まれやすくなります。親の気持ちに配慮せず、勝手に処分してしまうことが原因です。
本記事では、親の生前整理を行ううえで大切な5つのポイントと注意点をわかりやすく解説します。
記事を読めば、 親の生前整理を始めるための具体的なステップがわかります。
親の生前整理で大切なのは、親としっかり対話を重ねながら、誤解のないよう一つずつ確認して進めることです。無理のないペースで、少しずつ生前整理を進めていきましょう。
①生前整理で大切なのは家族と対話して進めること
生前整理を始めるうえで、家族との対話は欠かせません。親の生前整理では、親の価値観を理解することが大切なためです。親の意向を聞かずに勝手に所持品の整理を始めてしまうと、親からの信頼を失い、家族関係の悪化につながります。
壊れていたり汚れて見えたりするものでも、本人にとっては大切な品かもしれません。見た目だけで判断せず、必ず本人に確認してから整理を進めましょう。
親に生前整理を切り出すときのポイント
親に生前整理を切り出すときのポイントは、自然な流れで伝え、過度に口を出さないことです。自然に切り出すのにおすすめなのは、以下のようなタイミングです。
- 親の誕生日や結婚記念日で帰省したとき
- 病院に連れ添いで行ったとき
- 一緒に夕飯を食べているとき
- TVで生前整理や終活などの話題が出たとき
生前整理によるメリットを伝えると、前向きなイメージを持ってもらえます。生前整理には、遺族の負担軽減や相続トラブルの回避、今後の生活の質の向上といったメリットがあります。
一緒にやることリストを作成する
生前整理は計画的に進めることが大切です。無計画に手をつけるのではなく、最初にやることリストを作成してから始めましょう。リストの作成から親子で取り組むと、結束力が増し生前整理が進めやすくなります。やることは小さなタスクに細分化し、期限や誰が担当するかまで事前に決めましょう。
具体的には、以下のように記載するのがおすすめです。
例)キッチン棚の鍋を分類する 期限:今月末 担当:母
生前整理をスムーズに進めるコツは、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:生前整理のやり方5ステップ!費用を抑えてスムーズに進めるコツ
②エンディングノートを活用する
エンディングノートは、医療や介護の希望、財産や契約情報などを家族がすぐに確認できるように残すノートです。
必要項目を漏らさず書き残すには、書店やネットで購入できる市販のエンディングノートの使用がおすすめです。無料配布している自治体もあるため「◯◯市 エンディングノート」で検索してみましょう。
紙版だけでなく、PDF形式のデジタル版も配布されています。紙版は手書きで記入しやすく、デジタル版はコピーや更新が簡単という特徴があります。本人が書きやすい形式を選びましょう。
最低限書くべき7項目
エンディングノートはすべての項目を記載する必要はありません。書きやすい項目から進めるよう伝えましょう。最低限書くべき項目は以下の7つです。
- 自身のプロフィール
- 緊急連絡先
- 介護の希望
- 医療の意思
- 相続の方針
- 葬儀とお墓
- 遺品
エンディングノートがあれば家族が本人の希望を確認でき、迷わず行動できます。
ノートを渡すタイミングと保管場所
書き終えたエンディングノートは、無理に家族全員に共有する必要はありません。親が渡したいと思う大切な人だけが読むと伝えると、安心して記入できます。
エンディングノートは、じっくり自分と対話して書いてもらうことが大切です。期限はつけず、親のタイミングで渡してもらいましょう。
デリケートな内容なので、紙版は鍵付きの金庫へ、デジタル版はデータにパスワードをつけて保存するのがおすすめです。
③財産や契約をリスト化する
親の生前整理を行う場合、財産や契約関係を把握することは特に大切です。抜け漏れのないようまとめてください。
- お金や不動産などの資産と負債の棚卸し
- デジタル資産のリスト化
- サブスク契約の確認
お金や不動産などの資産・負債の棚卸し
まずは資産と負債を一覧にまとめた財産目録の作成から始めましょう。
資産には土地や不動産、現金、預金などがあり、負債には住宅ローンや借入金などがあります。親が亡くなった後に財産が判明すると、親族間での相続トラブルが起こりやすくなります。親が元気なうちに家族で共有しておくことが大切です。
相続に関して明確な意思がある場合は、法的効力のある遺言書の作成も検討してください。エンディングノートには法的効力はないため、特定の人に不動産を相続させたい場合などには、遺言書で意思を残す必要があります。
相続では資産だけでなく負債も相続対象です。負債までしっかり把握しておくと、相続するか放棄するかを適切に判断できます。
デジタル資産のリスト化
デジタル資産も忘れずにまとめしましょう。デジタル資産には、以下のようなものがあります。
- ネット銀行の預貯金
- 証券口座の株式や投資信託
- 電子マネーやポイント残高
近年は銀行口座や電子マネーが簡単に開設できるため、資産が分散していることも少なくありません。まずはサービス名や残高、ID・パスワードを一覧にまとめましょう。使用頻度の低い口座は、解約して一本化すると管理が楽になります。
サブスク契約の確認
親が登録したサブスク契約のログインIDやパスワードがわからず、解約手続きができないケースが少なくありません。解約しないと月額課金や定期配達料が請求され続けてしまうため、有料のサブスク契約は必ず一覧で把握しておきましょう。
IDとパスワードは、パスワード管理ツールの利用が便利です。パスワード管理ツールとは、スマホやパソコンに各サイトで使うIDやパスワードを保管できるサービスです。サイトごとに異なるパスワードを自分で覚えておく必要がないため、複雑なパスワードも簡単に管理できます。
Googleパスワードマネージャーや1Passwordが代表的なサービスです。ツールの利用が難しい場合は、エンディングノートにまとめる方法もあります。他人に悪用される可能性があるため、エンディングノートの管理には十分注意してください。
参考:今から考えておきたい「デジタル終活」-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-
④ものは「残す・処分・リユース」の3つの基準で整理する
財産や契約関係の整理が進んだら、家の不用品に手をつけましょう。以下の3つの基準を目安にすると判断しやすくなります。
- 残す
- 処分する
- リユースする
残す|大切なものは無理に捨てない
使っていなくても思い入れのあるものは、無理に捨てる必要はありません。生前整理の目的は不用品を捨てることではなく、所持品を見直して、残す理由を明確にすることです。残してもよいと思うことで、生前整理への心理的ハードルが下がり、本人が大切にしている価値観も見えてきます。
処分|使用頻度が少ないものは処分する
処分する際は、以下のように使用頻度で基準を設けると判断に迷いません。
- 1年間使用していないものは処分する
- 決めきれないものは3ヶ月保留。使わなければ処分する
一つひとつを深く悩むより、基準に従ってテンポよく進めることが大切です。
リユース|フリマサイトやリサイクルショップの活用
まだ綺麗で自分では捨てづらいものは、フリマサイトやリサイクルショップを活用しましょう。リユース(再利用)のメリットは以下のとおりです。
- 捨てる罪悪感がない
- 現金化できる
- 次の持ち主に受け継がれる
- 社会貢献につながる
リユースなら、なかなか捨てられなかったものも気持ちよく手放せます。
再良市場では、日本国内では再販が難しい中古食器や衣類などを海外の貧困地域にある孤児院へ届ける活動を行っています。処分をできるだけ減らし、リユースすることで社会貢献につなげています。
⑤業者への依頼も視野に入れる
生前整理を自分や家族だけで行うと、想像以上に時間と労力がかかります。大型家具を安全に運び出し作業を効率化できるため、業者への依頼も視野に入れましょう。
間取り別の費用相場は以下のとおりです。
間取り | 費用 |
---|---|
ワンルーム | 0円~100,000円 |
1DK | 10,000円~120,000円 |
1LDK・2DK | 30,000円~250,000円 |
生前整理業者の選び方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:生前整理業者の選び方7つ!料金相場や安く抑える方法も解説
生前整理を始める前に知りたい注意点
生前整理を始める前に知るべき注意点は、以下のとおりです。
- 体力と時間が必要になる
- 費用がかかる
- 写真などデジタルデータも忘れずに整理する
体力と時間が必要になる
生前整理は、想像以上に体力と時間を要するというデメリットがあります。
親の生前整理だけでなく、自身の生前整理を行う場合も早めに取り掛かりましょう。以下のような大型家具の処分は危険な場合が多いため、業者の利用がおすすめです。
- マッサージチェア
- 大型タンス
- 大量の寝具
所持品の量や家の広さによって生前整理にかかる時間は異なります。衣類や書類など、自分たちだけで整理できるものから少しずつ進めましょう。生前整理は、一度で完了できないケースが多いです。考えが変わったり、処分を保留にしたものを再検討したりする必要があるため、半年に一度は見直しましょう。
費用がかかる
生前整理でかかる費用は、依頼先によって異なります。自分で行う場合と専門家(生前整理アドバイザー)、業者へ依頼した場合の費用目安とメリット・デメリットをまとめました。
自分で片付け・処分する | 専門家に依頼する | 業者に依頼する | |
---|---|---|---|
目安費用 | 粗大ごみ1点250〜1,500円 | 1時間あたり3,000〜5,000円 | 1R 10,000〜100,000円 |
メリット | 費用を最小限に抑えられる | ・時間を節約できる ・片付け方を学べる | ・時間を節約できる ・処分の手間がかからない ・買取で費用相殺できる |
デメリット | ・体力と時間が必要 ・大型家具の搬出によるケガのリスク | ・費用がかかる ・片付けサポートのみのため、不用品は自分で処分する必要がある | 費用がかかる |
参考:生前整理の費用相場は?安く抑えたいなら買取サービスがおすすめ
自分で処分すれば費用は抑えられますが、高齢の親が無理して作業すると大ケガにつながる可能性があります。負担の少ないところは自分たちで整理し、大型家具は見積もり無料の業者に相談して比較すると、安全かつ費用を抑えられます。
写真などデジタルデータも忘れずに整理する
写真や動画などのデジタルデータは場所を取らないため、膨大になりがちです。容量不足でバックアップできないこともあるため、まずは保存場所を確保しておきましょう。
インターネット上でデータを保管するクラウドストレージや、外付けHDDの活用がおすすめです。クラウドストレージには、GoogleフォトやOneDriveといったツールがあります。
デジタルデータの整理と併せて、写真やアルバムをまとめてデータ化するのもおすすめです。データ化すれば原本を処分しても、スマホやパソコンでいつでも思い出を振り返れます。
まとめ:生前整理で大切なことを理解して、今日できることから始めましょう
生前整理で大切なことは、以下の5つです。
- 家族と対話して進める
- エンディングノートを活用する
- 財産や契約をリスト化する
- モノは「残す・処分・リユース」の3つの基準で整理する
- 業者への依頼も視野に入れる
生前整理は体力と時間が必要になるため、親が元気なうちに始めるのがポイントです。
親子でしっかり話し合い、親の気持ちに配慮しながら進めていきましょう。不用品が多い家庭や大型家具を処分したい場合、プロに任せたほうが安全かつ短時間で終わらせられます。
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