「生前整理はいつから行うのがベストなの?」
「なぜ生前整理はやっておいたほうがいいの?」
「具体的には何からすればいいんだろう?」
このような疑問や悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、生前整理は早めに始めるほど多くのメリットがあります。
この記事では、生前整理をいつから始めるべきか、年代別のポイントや具体的な進め方をわかりやすく解説します。あなたの現状にあわせた最適なスタート時期を見つけて、安心できる将来の準備を始めましょう。
生前整理はいつから始める?結論「今すぐ」がベスト!
生前整理を始める最適な時期は「今すぐ」です。厚生労働省の令和6年のデータ(※)によると、日常生活において制限がなく健康に過ごせる健康寿命は男性が72.57歳、女性が75.45歳となっています。
この年齢を過ぎると、日常生活に制限がかかる可能性が高まり、判断力や体力が十分な状態での整理が困難になるリスクが生じます。また、年齢に関係なく病気や災害などで将来に不安を感じたときも、生前整理を始める重要なきっかけのひとつです。
つまり、何歳からでも始めて構わないのが生前整理の特徴といえます。早期に開始することで、処分費用の圧縮や相続トラブルの予防、今後の生活満足度向上といったメリットを享受できるのです。
次の「【年代別】生前整理でやるべきこと・ポイントとは」の章にて、年代やライフステージに応じたポイントを押さえながら、無理のない範囲で進めていきましょう。
【年代別】生前整理でやるべきこと・ポイントとは
生前整理は年代やライフステージによって取り組むべき内容が変わってきます。自分の状況にあわせたアプローチを選ぶことで、効率的かつ効果的な整理が可能です。各年代の特徴と具体的なポイントを詳しく見ていきましょう。
~30代|ミニマル×将来設計
30代は、生前整理なんてまだ早いと思われがちですが、事故や病気のリスクは年齢に関係ありません。若いうちから持ち物を「いる」「いらない」で定期的に仕分ける習慣をつける「ミニマル生活」は、将来的な生前整理の負担を減らすうえでも有効です。
また、物を減らすことで次のような効果が得られます。
- 探し物や掃除の時間を短縮できる
- 無駄な買い物をしないため、節約効果も期待できる
重要書類は1箇所にまとめて保管し、デジタル資産の整理もあわせて行うことで、万が一の備えが整うでしょう。将来設計の一環として、保険の見直しや資産形成の基盤作りも同時に進めるとより効果的です。
なお、20代や30代から始める生前整理については、以下の関連記事で詳細な解説をしています。
関連記事:20代の「生前整理」- 今と未来を豊かにする始め方と心理的メリット
関連記事:30代から始める生前整理!メリットと具体的なステップを解説!
40代~50代|セカンドライフの準備
40代から50代は、親の介護や子どもの独立などライフステージの転換期にあたります。自身の体力や判断力も充実しており、生前整理に適したタイミングといえるでしょう。この年代のうちに身辺を整理しておけば、60代以降になって慌てるリスクを大幅に減らせます。
具体的に行うことは以下の通りです。
- ライフプランの見直し
- 資産や負債の詳細な把握
- 子どもの持ち物や夫婦で必要なものの本格的な整理
仕事やプライベートが忙しい時期でもありますが、週末を活用して計画的に進めることで、セカンドライフへの準備が整います。
60代|退職後の本格整理
定年退職を迎える60代は、仕事から離れて時間にゆとりが生まれるため、自分のペースでじっくりと生前整理に取り組める理想的な時期です。住まいと持ち物の整理に加えて、財産目録の作成や相続準備も視野に入れた包括的な整理を行いましょう。
エンディングノートに整理した情報を記載し、定期的に更新することで、家族への情報共有もスムーズになります。この年代では、まだ体力があるうちに大きな家具や家電の処分を済ませておくことも重要なポイントです。
70代~|遺言と共有で安心
70代以降は気力・体力の衰えを感じやすくなる年代といえます。特に一人暮らしの場合、片付け作業が思うように進まなかったり、判断に迷ったりする場面も増えてくるでしょう。このような状況では、家族や親族に協力をお願いすることが大切になってきます。
この年代で中心に進めるべきことは、次のとおりです。
- 遺言書の完成
- 残りの持ち物整理
- 重要な情報の引き継ぎ
- 相続や財産に関する情報の共有
- 最期の迎え方の希望を共有
一人で抱え込まず、信頼できる人たちと協力しながら取り組めば、安心して生前整理を進めることができるでしょう。
生前整理を先延ばしにするリスク3選
生前整理を「いつかやろう」と後回しにしていると、さまざまなリスクが生じる可能性があります。時間が経つほど状況は複雑になり、本人や家族にとって大きな負担となりかねません。
ここでは、先延ばしにすることで発生する主要なリスクを詳しく解説します。
高齢になるほど身辺整理がしにくくなる
年齢を重ねるにつれて体力が低下し、不用品の処分に必要な労力を確保することが困難になりがちです。重いものを運んだり、高い場所に置いてあるものを取ったりする作業が体力的に厳しくなってしまいます。
また、階段の昇降や長時間の作業による怪我のリスクも高まり、思うように生前整理を進められなくなるおそれもあるでしょう。判断力の低下が始まると、通帳や重要書類の管理や必要な物と不要な物の判別なども難しくなってしまいます。
若いうちに身の回りを整理しておけば、老後の生活がすっきりと楽になる一方で、先延ばしにすると大きな負担となることを知っておきましょう。
業者を使うことになるとお金がかかる
自分で不用品の処分ができなくなったり、遺された家族が対応しきれなくなったりした場合、専門業者への依頼が必要と判断するケースもあります。しかし、荷物が多いほど処分費用も高額になる傾向があることを知っておかなければなりません。
例えば、4LDKの一軒家の不用品処分を業者に依頼した場合、約12~60万円ほどの費用がかかることが考えられます。場合によっては、さらに高額になるケースもあるでしょう。
体力があるうちに計画的に不用品を処分し、荷物を減らしておくことで、万が一業者を利用することになっても料金を大幅に抑えられる可能性があります。早めの対応が、経済的な負担軽減にも直結するのです。
相続税がかかるものを把握できない
生前整理を怠ると、以下のような金銭に見積もれる財産の全容を把握できなくなる可能性があります。
- 預貯金
- 貸付金
- 有価証券
- 貴金属
- 美術品
- 骨董品
- 宝石
これらは相続の対象となるため、事前の整理と把握が重要です。荷物の整理を行うことで、価値のある物を適切に処分したり買い取りに出したりすれば、予想外の相続を避けることにもつながります。
また、物が多すぎて故人の遺品を把握できない状況では、相続税の申告・納付期限である10ヶ月以内の手続きが困難になるおそれがあります。期限を過ぎると延滞税などのペナルティが発生するため、事前の財産把握と整理が不可欠といえるでしょう。
今すぐ生前整理を始めるメリット3選
生前整理を早めに始めることで得られるメリットは多岐にわたります。単なる片付けではなく、より良い生活環境の実現と将来への安心感を得られる重要な取り組みといえるでしょう。
ここでは、今すぐ始めることで享受できる主要なメリットを具体的に紹介します。
住環境の安全と心理的なゆとりができる
物を片付けることで、日常生活に潜む怪我のリスクを減らせます。消費者庁によると、高齢者の「骨折・転倒」は、介護状態につながる大きな怪我だと示しています。床や通路に物を置く、コード類は導線を避けるなどの工夫で、転倒や骨折のリスクを大幅に減らすことが可能です。
また、家の中の物量が多いほど、人はストレスを感じやすくなることが知られています。不用品を減らすだけで気分が軽くなり、集中力の向上も期待できるでしょう。物が少ない環境では掃除も簡単になり、清潔で快適な住空間を維持しやすくなります。
※参考:消費者庁 転倒予防の日
遺された家族への負担を減らせる
生前整理を行うことで、遺族にかかる遺品整理や相続手続きの負担を大幅に軽減することが可能です。物が多いほど、必要なものと不要なものの分別や処分に膨大な時間と手間がかかってしまいます。
財産や生命保険、不動産関連の書類などを1箇所にまとめておけば、遺族がすべてを一から調査する手間と負担も大きく軽減されるでしょう。
自分のやりたいことが見つけられる
生前整理を進める過程で、過去を振り返ったり自分の価値観を再認識したりする機会が生まれます。これまでの人生で大切にしてきたものや、これからの人生でやりたいこと、本当に大切にしたいことが明確に見えてくるかもしれません。
また、不要なものを買い取りに出したり、財産を整理したりして把握することで、やりたいことへの投資に回せる資金も見えてくるでしょう。
今日から始める生前整理の進め方5STEP
生前整理は一度にすべてを行う必要はなく、自分のペースで段階的に取り組むことが重要です。各ステップのポイントを把握して、計画的に進めていきましょう。
STEP | 内容 | ポイント |
---|---|---|
1 | 断捨離 ・衣類 ・日用品 ・思い出品 ・大型家具 など | ・必要、不要、検討中で分別 ・思い出のものは時間をかけて判断 ・大型家具は業者の活用も視野に |
2 | 財産目録の作成 ・通帳 ・証券 ・保険 ・不動産 など | ・資産と負債を正確に把握 ・書類は1箇所に保管 |
3 | デジタル遺品 ・写真 ・SNS ・パスワード | ・アカウント情報を整理 ・重要データのバックアップ |
4 | エンディングノート / 遺言書 ・葬儀の希望などの記載 ・整理した情報の記載 ・法的書類の作成 | ・定期的な更新 ・専門家への相談も検討 |
5 | 葬儀やお墓の手配 ・終活全般の準備 | ・家族との事前相談 ・希望する形式や費用感などをまとめておく |
詳細な進め方は以下の関連記事にて解説しています。こちらもあわせてチェックしてみてください。
関連記事:終活・生前整理でやるべきこととは?進め方やメリットデメリットについても解説
関連記事:生前整理・老前整理とは?始めるべきタイミングと進め方のコツを徹底解説!
必要に応じて専門家にサポートを求めよう
生前整理は一人ですべてを行う必要はありません。内容によっては以下の専門家のサポートを受けることで、より効率的かつ確実に進められます。
- 相続関連の相談:税理士
- 片付けや生前整理のアドバイス:生前整理アドバイザー・認定作業士など
- 大型家具の処分など:専門の買取業者など
なお、再良市場では生前整理サービスを提供しており、買取可能なものは適正価格で買い取りを行い、その金額を生前整理費用と相殺できます。処分費用を抑えながら効率的な生前整理を実現できるお手伝いが可能です。
一人で悩まず、適切な専門家のサポートを活用することで、安心して生前整理を進められるはずです。
生前整理はいつから?に関するよくある質問
生前整理の開始時期について、多くの方が抱える疑問や不安があります。ここでは、特によく寄せられる質問について詳しくお答えしましょう。
両親に生前整理を勧めたいけど、どう伝えたらいいの?
「捨てたほうがいい」「処分しよう」といったネガティブなワードは避けましょう。生前整理のメリット
や、やらないことで生じるリスクを冷静に伝えてみてください。
また、自分も生前整理を始めたことを伝えたり、「一緒に取り組みませんか」と提案したりすることで、抵抗感を和らげられます。物を捨てることに抵抗がある場合は、寄付という選択肢を提案してみるのもよいでしょう。
生前整理で寄付に興味がある方は、以下の関連記事で詳しく紹介しています。あわせてチェックしてみてください。
関連記事:生前整理で寄付する方法は?主な寄付先やメリット、注意点も解説
生前整理を業者に頼むと、いくらかかる?
費用は部屋の広さや物量により異なります。また、車両が入れない狭い場所での作業や、階段での運搬作業など、その他の要因でも料金が加算されることがあるでしょう。
【一般的な相場価格】
- 1LDK:約7~20万円
- 2LDK:約9~30万円
- 3LDK:約17~50万円
- 4LDK以上:約12~60万円
なお、買取業者を利用すれば、不用品の買取金額で作業費用を相殺し、全体の費用を抑えられるメリットがあります。複数社から見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。
関連記事:生前整理の費用相場は?安く抑えたいなら買取サービスがおすすめ
業者選びのポイントはある?
業者選びを適切に行わないと、思わぬトラブルに発展するおそれがあります。見積もりより高額な請求をされたり、業者による不法投棄が原因で高額な処理金額の請求をされたりする事例も発生しており注意が必要です。
信頼できる業者を選ぶには、以下の点を確認することが重要となります。
- 過去の実績
- 明確な料金体系と詳細な見積もり書
- 必要な許可証や資格の保有
- ホームページでの情報開示
口コミや評判も参考にしながら、複数の業者を比較検討して選ぶことで、安心して依頼できる業者を見つけることができるでしょう。生前整理業者の選び方は、以下関連記事で詳しく解説しています。
関連記事:生前整理業者の選び方7つ!料金相場や安く抑える方法も解説
まとめ|生前整理は「いつか」ではなく「思い立った今」がタイミング
生前整理を始める最適なタイミングは「思い立った今」です。年齢に関係なく、いつから始めても早すぎるということはありません。自分の年代やライフステージにあわせてやるべきことを把握し、後悔のないよう早めの行動を心がけましょう。
生前整理は身の回りのものを片付けるだけでなく、過去を振り返り、これからの人生について考える貴重な機会でもあります。家族や親族の安心はもちろん、自分自身の不安を解消し、心穏やかに過ごせる環境を整える重要な取り組みといえるでしょう。
荷物の整理が一人では追いつかない場合や、大きいものや重いものの処理に困ったときは、家族や専門業者に相談することも大切です。業者を選ぶ際は、違法業者でないかを必ず確認し、信頼できるところに依頼してください。
なお、再良市場では無料で見積もりを行い、買取可能な品は適正価格で買い取りしています。処分費用を抑えながら、安心して生前整理を進めたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。